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翌朝、悠誠が起きる気配で、澪依は目を覚ました。
悠依にイチャついてる所を見られた後、悠誠は残りの食器を手に台所にやってきて、一緒に洗い物を片付けてくれた。悠依はというと、片付けを終えて、先にお風呂に入ったようだった。
二人とも無言で洗い物をしていて、気づけば悠誠の唇が澪依に触れていた。
いつもより長めのキスで、濃厚かつ静かに口づけを交わす。人の気配を感じながらするキスは、いつもの数倍小っ恥ずかしい。
思い出しただけで、顔から火が出そうだ。
「澪依さん、起きてますか」
「ん……」
悠誠が普段と変わらず、澪依を起こす。昨夜のことを思い出していたため、澪依は布団から顔を出せない。赤くなっている顔を見たら、彼のイジワルモードを触発させてしまうだろうから。
「先に着替えて、降りてますね。澪依さんも起きて、着替えてください」
「んー」
右腕だけ布団から出して、澪依はひらひらと手を振る。普段の家での光景と同じだから、違和感はないはずだ。だが、悠誠の柔らかい唇を手の甲に感じ、びくりと反応してしまう。
彼は特に気にせず、そのまま部屋を出て行った。階段を降りていく足音を聞きながら、澪依は小さくため息をつく。
「実家にいる方が心臓、持たない気がする……」
自分の心臓の音がどくんどくんと速い。今日一日持つか、心配になりながらも布団から出て、私服に着替えた。
一階に降りると、悠依が台所で朝ご飯を作っていた。
「あ、姉さん! おはよ。よく寝れた?」
「おはよ、悠依。うん、寝れたよ」
「よかった。布団干したから、ふかふかだっただろ?」
「寝心地、最高だった」
「そりゃあ、良かった。もうすぐ朝ごはんできるから、座って待ってて」
「お母さん達は?」
「庭で野菜を収穫してると思う」
悠依は無駄のない動きで、朝ごはんを五人分用意していく。ふと、悠誠の姿が見当たらないことに気づいた。
「ねぇ、悠依。ハルもいないけど、どこに行ったか知ってる?」
「ああ、さっき母さん達に連れて行かれてたよ。すっかり悠誠くんのこと、気に入っちゃってる」
「そっか。まぁ、よかったかも」
「流石、悠誠くんだね」
「うん。なんでも卒なくこなすから、羨ましい」
「姉さんは不器用だもんなぁ」
悠依はニヤニヤしながら、澪依を見る。
「うるさいわね」
「姉さんの面倒見れる人で、俺は安心だよ」
「そんなに不安要素あった? わたし」
「ちょっとだけ、ね」
くだらない会話をしながら、悠依の手伝いをしようと食器棚からお皿を出している間に、父たちが戻ってきた。
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