いっしょにいようよ

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「ありがとう、友くん」  由香は俺を「友くん」と呼ぶ。本名が「友則」だからだ。  キッチンへと向かう由香の小さな背中をじっと見つめる。  ああ、可愛いなあ。  すぐにビール入りのグラスを二つ載せたお盆を持ってきた。  俺は由香からグラスを受け取り、中身の液体に口をつけた。渇いた喉に炭酸が心地よい。  由香もおいしそうにグラスを傾けている。 「うん、おいしいなあ」 「ね、おいしいね」  俺はテレビに目をやった。人気売り出し中のお笑い芸人がトークする番組を放映している。  突然、由香が真剣な声を出した。 「ねえ、友くん。一つだけ聞いてもいいかな?」 「なんだい、突然?」 「友くんは私の他に好きな人なんていないよね」  一瞬、言葉に詰まってしまう。  実は、俺には由香の他に付き合っている女性が一人いるのだ。  会社の同僚の女の子と浮気している。こちらは付き合って半年になる相手だ。  もちろん、そんなことは口が裂けても由香にはいえない。  思い切り笑顔を作って、由香の質問に答える。 「ああ、決まってるだろ。俺がこの世で好きなのは由香だけだ」
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