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「本当? 嬉しい。私も友くんのこと、世界で一番好きだよ」
「俺もだよ」
「あ、そうだ。友くんに見せたいものがあるの」
「俺に見せたいもの?」
「ちょっと待っててね」
由香は戸棚を開け、中から茶色い封筒を持ってきた。
「はい。これ」
「何これ?」
「いいから開けてみて」
受け取った封筒を開けてみる。
ああ、これは……。なんということだ……。
中から出てきたのは数葉の写真だった。
どれも隠し撮りされたもののようだ。
夕方、俺が浮気相手のマンションに入っていく姿の写真もあれば、浮気相手と街中で手をつないでデートしている写真もある。
「こ、これは……」
「私、とてもショックだったんだよ、友くんが浮気するなんて」
「これには深い理由があるんだよ。聞いてくれ」
「いいの。ちっとも怒ってないよ、私」
「え……?」
「だって友くんがこれでもう少しだけ……ううん、ずっとずっといっしょにいてくれるようになったから。友くんは私だけのものになるんだよ」
今になって舌に妙な苦みを感じていることに気がつく。
これは絶対にビールの苦みなどではない。
俺はテーブルの上に置いたグラスに見入った。
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