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「あら、魔法ってもらえるものなのね。人探しならそれこそ魔法で探せばいいじゃない」
「俺だって試してみたけど、無理だった。お前の弟を連れ戻そうとした時みたいに、どうにも上手くいかなくて。けど、あの人は死んでなんかいない。だから、俺が有名になれば、きっと向こうから会いに来てくれる。あの人にまた力を貰えれば、きっとなんでもできるようになるはずなんだ」
「要するに、あの人とやらが見つかりさえすれば、わたくしの弟を生き返らせることもできるようになる、と。たやすいことね」
「俺の苦労も知らないでよく言うよなぁ…」
「もしよければ、わたくしが見つけてさしあげましょうか?」
訊かれた途端にアトは口をつぐんだ。返答に窮している間に加賀亞は続けて
「できればわたくしも魔法の力を手にしてみたいものね。そうすればわたくしの…」
「やめとけ」アトは、加賀亞の言葉を遮った。「亡くした人のことなんて忘れた方がいい。そのほうが、きっと…」
それからアトは、加賀亞を置き去りにして走り出た。しばし無我夢中で走って行き、人もまばらな大広場に差し掛かると、そこでマコトの姿を見かけたから、「おーい、マコト!」と言い寄った。
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