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「風のありがたみを皆に分からせるための魔法…!風って目に見えないから…!だ、誰だって風が吹いて…あ、ああ、あ、当たり前だと思ってるから…!」
「まさか俺以外の魔法使いがこの町にいるとはな…!その導師とは何者だ!どこにいる!?」
女性は、もはや聞く耳を持たず、恍惚とした笑みを浮かべた。
「は、はは…!あの光アトが…導師様の力に震え上がっている…!なによ、てんで大したことないじゃない…!やっと…やっと訪れたのね…!光アトを蹴落とし、私が現代魔法のカリスマとして君臨する絶好の機会が…!」
女性は、掲げた両手を嬉々として激しく煽り始め、そうして何処かに身を潜める導師に風を乞うた。まもなくして導師の魔法によって旋風が遣わされた。街路樹が傾くほどの逆風に晒され、アトとマコトは、とても立ってはいられなかった。その場で屈んで耐え忍んでいたが、そのうちマコトだけが堪えきれなくなってしまい、その足が地面を離れて宙に浮き始めた。
「しっ師匠~!」
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