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捜索の結果を報告してもらうため、加賀亞は、翌朝になってアトを自宅に呼びつけた。アトは、加賀亞の遣わした配下に連れられ別荘にやってくると、応接室で加賀亞と対面した。アトは、誰に促されるまでもなくソファに腰かけ、足を組んでふてぶてしく加賀亞を臨んだ。その尊大な態度に加賀亞は思わず眉をひそめた。
「なんですの、その態度。わたくしに呼びつけられたのがそんなに不満?」
「いいだろ別に」
「まぁいいですわ。それで?わたくしの弟は見つかりましたの?」
「ああ、見つけたぜ。お前の弟が墓で眠ってるところをな」
加賀亞は驚きのあまり息を呑んだ。アトは構わず続けて
「加賀亞リク。もう数年前に亡くなってる。残念だけど、今の俺じゃ連れ戻せないな」
加賀亞は、泣き伏すんじゃないかと思うほどに落胆した。
「わたくしは夢を見すぎていたのかしら…。亡くした人を取り戻すだなんて、やはり…」
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