Second Chance

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 カラン、カラン。カラン、カラン。  耳元で鳴らされる、けたたましいベルの音に俺は飛び起きた。 「うぉ!!」  眼前には大きな碧の目。それが俺を凝視しており思わず仰け反った。 「おめでとうございまーす。君は今年の五千万人目の来場者でーす」  俺を覗き込んでいた金髪碧眼のガキは、福引の当たりを知らせるようにベルを鳴らしながら言った。容姿だけならたいそう可愛らしいが、それを無にする仏頂面で宙に浮いている。俺が驚いて辺りを見渡すと一面真っ白な空間に二人だけだった。 「は……?」 「私は神の使い、人で言うところの天使です。そして芝野一(しばのいち)。君は先程死に、この場所に辿りつきました。それがちょうど今年の年間累計死者数、五千万人目になります。その記念に特典として――」 「ちょ、ちょっと待てよ!」  役所の事務手続きのように淡々と進める自称天使に待ったをかけると嫌そうな視線を向けられる。 「ここどこだよ! それに俺が死んだってどういうことだ!?」  俺の絶叫に天使は眉間に深い皺を寄せ溜息を吐く。そして指を一振り。 「黙って話しを聞くことも出来ないなんて…… 質問はこちらの説明が終わってから、まとめてお願いします」  高圧的な態度に怒鳴り返そうとしたが、口がパクパク動くだけで声が出ない。思わず掴みかかろうと腰を上げたら、また指を振られそのままの姿勢で動けなくなった。 「話が終わるまで、大人しくしていてください」  天使は俺に指を突き付けて言った。睨み付けるがどこ吹く風で続ける。 「えぇと、どこまで話したかな。 そうそう、君には過去に帰ってやり直せるチャンスが与えられました。これから僕が君の一番未練があること、それを解消できる日に君の意識を戻します。このチャンスを活かして以前の未練を解消してくださいね。 ただし、死亡日は変わりませんから、無駄な抵抗はしないように。あがけばあがくほど最初よりつらい死因になりますのでお気を付けください。 ここまでで質問は?」  何も言えない俺に「無いようですね」とまた指を一振り。 「タイムリミットは手の甲の十字の痣が消えるまで。特別特典として、運命の出会いがプレゼントされます。それでは、次に会うのはやり直し後です。良い人生を」  宙に浮く感覚がしたかと思うと俺の体は真っ逆さまに落ちて行った。
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