感謝

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感謝

 加代子が帰っていくと、龍二はベコベコになったワシの体を直しはじめた。  結局龍二は、東京に行けなかった。 ちゃぶ台の上には封筒に入ったままの受験票が無造作に置かれている。  落ち込んでいるのかと思いきや、龍二は憑き物が落ちたかのようなスッキリした表情をしていた。 「なぁ、ダルマ様。知らせに来てくれてありがとうな」 意外にも龍二はそんな言葉を口にした。
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