侘びしい暮らし

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侘びしい暮らし

 木造平屋の掘っ立て小屋のような家には母ちゃんとばあさま、そして俺の3人で住んでいた。 『鉄塔建設の下見に来た男が、芳恵に手を付けた。腹の中に子がいることがわかると、男は逃げていった』 母ちゃんがいないときを見計らって、ばあさまはよく、そんな話を俺に聞かせた。 「都会の男はずるいからん。 芳恵はまんまと騙されたのよ」 農作業の手も止めず、ばあさまは淡々と語る。 幼い俺はよく分からないなりに、父ちゃんと母ちゃんが悪く言われていることを感じ取り不貞腐れて黙っていた。
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