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謝罪
バスに揺られて更に40分、病室に入ると芳恵はベッドの上で目を開いた。
「龍……二?」
「気分は?」
龍二はベッドサイドに椅子を引っ張ってきて座ると、ぶっきらぼうにそう尋ねた。
「あんた……試験は?」
芳恵の問に龍二は黙ってうつむいている。
「ああ……ごめん、ごめんよ……」
芳恵の掠れた喉から嗚咽が漏れた。
「謝らないけんのは俺の方だ」
龍二はワシをリュックから取り出した。
「ダルマ様……」
芳恵は驚いた様子でワシを見上げる。
「母ちゃんがダルマ様にいつも祈ってくれておったこと、俺は知ってたよ」
龍二はパイプ椅子に座り背中を丸めてうつむいたまま告白した。
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