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誤解
「倒れるほど無理さしてごめん……俺のせいだ」
それを聞いた芳恵は顔を両手で抑えると、小さく頭を横に振った。
「ばあさまから『われの親父は、われと芳恵を捨てて逃げた薄情モンだ』って言われるたんびにムカついて……俺も絶対この田舎から出てってやるって意地になってた」
「ばあさまがそげなことを言うちょったのか?」
芳恵はそっと顔から手をおろし、丸く見開いた目で龍二を見た。
「それは誤解だ、龍二」
芳恵は、遠い目をして遥かな記憶を辿りながら淡々と語る。
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