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プロローグ・エピローグ
虚は地下室にあった荷物を纏める。
自分の、これから生きていく上で必要な物だけだ。
それから、虚はスマホを見る。
1ヶ月学校に行ってないから、3人のグループチャットには毎日沢山の通知が来ていた。
虚はそれを1つも見ていなかったから、きっと心配させてしまっただろう。
虚は少し罪悪感に駆られながら、チャットを開く。
そして、文字を打ち込む。
『私は問題ありません。
だから、探さないで。
そして、さようなら』
その後虚はすぐにグループチャットを抜け、スマホの電源自体を切る。
「この子も、もう使わないかな。
新しいスマホ、買わないと……」
自分の新生活には、友人と言うものは不必要だ。
まあ、少し寂しいという気はするが。
虚はリュックを背負い、そして胸に手を当てる。
零人の持っていた服の中の1つ、黒のフードの付いたシャツ。
下は、始めて会った時のスカートを履いていて、ちぐはぐな服装だ。
「……零人。
2人きりで、生きていきましょう。
……愛しています」
少女と男の生活は、まだ始まってすらいない。
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