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入学式から1ヶ月が経ち、虚もそこそこクラスに馴染んでいた。
虚は部活には入らなかった。
勧誘はたくさん受け、体験も沢山やりはしたのだが、どれも虚の興味を惹くものは無かったのだ。
1年A組には、虚の他に藤堂暁や渡瀬メルなどが部活未所属となっている。
「ねーねー黒咲さん。
今日って暇?」
「ひゃい!?」
「うぉわ!?」
帰りの準備をしていた虚の背後から急に話しかけられ、虚は飛び上がる。
そしてその反応に相手も驚き、何がなんだかわからなくなる。
先に正気に戻ったのは虚だった。
「あ、えと、渡瀬さん……
どうか、しましたか?」
「あ、えーっとね!
もし今日暇だったら一緒に帰らない?美味しいクレープ屋さん見つけたんだ」
「別に、今日は暇ですけど……でも、私なんかでいいんですか?」
「黒咲さんがいーの。
黒咲さんの事いろいろ知りたいし」
「はあ……
別に、大丈夫ですよ?」
「やったぁ!
ありがとう、黒咲さん」
そう笑顔を見せてくる渡瀬メルを、虚は素直に眩しいと思った。
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