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「……」
その日、少年は絶望していた。
どれほど足掻いても、届かない存在が、すぐ傍にいるのだ。
少年は今時珍しい貼り出されたテストの順位表の前にずっと居座っている。
少年の順位は2位。
1位は入学生代表挨拶をした彼女。
2位と1位との差は、20点以上もあった。
兄はこの1位の少女のような人間だった。
常にテストで1位を取る、完璧な兄。
そんな兄は、少年にとって憧れの存在だった。
兄のように、なりたかった。
それなのに。
それなのに、とても兄のようには出来なくて、それでも兄に追い付きたくて沢山の努力をしてきたのに。
友達と、遊びたかったのを、全部我慢してきたのに。
何年も、何年も努力してきたのに。
それなのに、現実は無情だった。
それは、少年が死を選ぶ理由には充分過ぎた。
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