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「虚、凄かったね!テスト1位だってよ?」
「そんな騒ぎ立てないでください、目立っちゃいます……」
「いやいや、張り出されてる時点でもう十分目立ってるから」
「うう……」
虚はメルの隣で肩を落としていた。
周囲の視線が痛いのだ。
学年1位なのだから、それは注目を浴びることになるだろうが。
「それにしても、トップ2がどっちもうちのクラスだなんてね。」
「ああ、彼……藤堂暁さんでしたっけ。
凄いですね」
「虚が言うと皮肉にしかなんないんだよなぁ」
「ごめんなさい……」
「あ、噂をすれば」
そうメルが視線を向けた先には、階段の方へと走り去っていく藤堂暁がいた。
「ぁ……」
「ん?どったの?」
「いえ……
ねえ、メル。
今日のクレープ会、明日にしてもらっても大丈夫ですか?」
「別にいいけど……何で?」
「特に何とも無いとは思うんですけど……彼が、何か……何というのでしょう、何か、気になって」
「え、もしかして一目惚れ?」
「それはないです」
「えぇ……」
メルの言葉を即答で否定する虚。
「では、また明日」
「うん、ばいばーい」
メルと教室で別れ、虚はすぐさま暁が走り去っていった階段へと向かう。
杞憂で済めばいいが、彼からは自分と同じ気配を感じた。
死を、何とも思わない、そんな気配が。
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