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「零人……なんで……」  虚は何度も何度も零人に電話をかける。  しかし、全て不在となっている。  辺りを見渡すと、つい昨日まで生活していた後が見える。  たまに、夜ふらりと出ていくときもあるが、今回のはそれとは違うと虚の勘が伝えていた。 「……」  菜々美に、電話を掛けてみるか。  零人と腐れ縁だという菜々美なら、何か知っているのではないか。  しかし、と虚はすぐに思い直す。  腐れ縁だからこそ、教えてくれないのではないか。  思考がぐるぐると巡って纏まらない。  それならば。  虚は部屋に行き今日使ったばかりのリュックを引っくり返す。  そして、その中に必要最低限の荷物を積めていった。
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