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虚はバーのドアを開ける。
開いていないと思っていたが、予想に反して開いていた。
「いらっしゃい……ぁ」
「……こんばんは。夜分遅くに申し訳ありません。」
「こんな遅くにどうしたの?虚さん
零人は一緒じゃないの?」
「……零人は、消えました。」
「……居場所は、分かるの?」
「……それは、貴方の方が……貴方たちの方が、分かるのでは無いですか?」
虚は平坦な口調でバーカウンターを睨み付ける。
「隠れても無駄か」
「ええ、無駄です」
バーカウンターの下から明宏の声がする。
「全く、育てた子を放っとくなんて、零人もバカですわね。
虚が追ってくる可能性を、考えなかったのかしら」
「……零人は何処にいるんですか」
「それには答えられない」
虚の問い掛けに直ぐ様否定の言葉を述べる菜々美。
「何でですか……!!
何で、あの人は急に……」
「虚は、食人鬼の末路について知っているかしら」
ふいに、リリーが口を開いた。
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