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目を閉じてから、何時間が経ったのだろうか。
ふと、少女は目を覚ました。
リビングからの物音はもう聞こえてこない。
両親はもう落ち着いたのだろうか。
少女は時計を見る。
時計は2の針を指している。
それが朝なのか夜なのかを少女が判断する術はない。
ただ、喉が渇いたからリビングに水を飲みに行こうと思った少女は、なるべく音を立てないようにドアを開け、リビングに向かう。
しかし、直ぐに足が止まる。
ドアから電気が漏れ出ている。
つまり、誰かがリビングにいる。
父だろうか、母だろうか。
少女の体は、薄い恐怖を覚える。
耳を澄まして音を聞き取ろうとするが、何の音も聞こえてこない。
父がリビングにいるときは大抵テレビもついていて、テレビの音が聞こえてくるから母だろうか。
少女はおそるおそるドアを開ける。
すると、少女の視界に飛び込んできた物は、父でも母でもなかった。
いや、父と母であったモノはある。
しかし、そこに両親という人間はいない。
両親は、血を流して死んでいた。
その両親の先にもうひとつの人影がある。
その人は、黒いフードのパーカーの様なものを着た人だった。
その人は、少女の両親を喰べていた。
その人は、少女の姿を見て私に包丁を向けてきた。
その時、少女は。
何も、感じなかった。
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