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「──包丁を向けられていて、怖くないの?」
そうフードの人は少女に聞いてくる。
少女の両親の……どちらのかは分からないが指を食べながら。
「……別に」
「へー、以外。
この家は2人しか住んでないって聞いてたから3人目の子がいるってことにも驚きだし、親が殺されても何の反応をしないなんてもっと驚き」
少女の答えに対してそうフードの人は返してくる。
声から察するに男の人だろうか。
「……ていうか君、何でセーラー服着てるの?
まだ深夜だけど」
そうフードの人は聞いてくる。
「……母が、これしか着ちゃ駄目だって。」
「ふーん」
男は興味無さそうにする。
興味のないことなら聞かなければ良いのに、と少女は思う。
「……それで、貴方はここに何しにきたの」
「んー、俺ね、実はカニバリズムなんだ。」
あ、カニバリズムって分かる?と男は続ける。
「知らない。」
だから教えて、というニュアンスを込めて少女はいう。
それが通じたのか通じなかったのか
「んーとね、カニバリズムって言うのは、簡単に言うと人を食べる人って言うことだね
まあ見てりゃ分かると思うけど」
男は続ける。
「それでね、俺は悪人専門のカニバリズムってわけ。
君の家のこの2人はどうしようもない悪人で、俺はそいつらに制裁を与えに来た」
まあ、悪人は男の方だけだけど、と男は呟く。
「君が誰なのかは知らないし、知るつもりもない。
だけど、この家に住んでるなら君も同罪。
君も悪人だ」
そう言って、男は少女に包丁を更に近付けてくる。
でも、少女は。
「………殺したいなら、勝手に殺せば」
「……は?」
命の危機を。
『死』を前にしても。
何も感じない。
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