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昔むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、
川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
しかし、おばあさんは洗濯に一生懸命で全く気が付きません。
拾われることのないまま、桃は川下へ流れていってしまいました。
しかし、これではお話が進みません。
大きな桃は、おばあさんに拾ってもらうため、
自ら効果音を施し、工夫を凝らすことにしました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が…
(F-1的な音)大きな音をたてて流れてきました。
しかし、あまりにも早すぎて、おばあさんの目にはとまりませんでした。
続けておばあさんが洗濯をしていると、川上からまた大きな桃が…
(列車や新幹線の音)大きな音をたてて流れてきました。
しかし、おばあさんは律儀に白線の内側まで下がってしまったので、
桃を拾うことは出来ませんでした。
まだおばあさんが洗濯をしていると、川上からまた大きな桃が…
(ホラー系)大きな音をたてて流れてきました。
おばあさんは思わず身をすくめ、目をつぶりました。
その間に桃は、川下へ流れて行ってしまいました。
おばあさんは身の安全を確認すると、
またせっせと洗濯に取り掛かりました。
このままでは、らちがあきません。
桃はどうにかして拾ってもらうため、なんとか知恵を絞りました。
そろそろおばあさんの洗濯もラストスパートです。
そんななか川上からまた大きな桃が…
(「川でお洗濯中の奥様限定で桃のつかみ取り!今なら無料!」
テレビショッピング風)大きな音を出して流れてきました。
おばあさんは思わず川のなかに飛び込み、桃をゲットしました。
おばあさんは大きな桃を抱えて家に帰りました。
おじいさんが長年のしばかりで鍛えた腕で、桃を割りました。
(剣を使った必殺技などの派手な効果音)
桃はあっという間に、カットされました。
「あら、まるで隠し味に人間でも入ってるみたい。
なんて美味しい桃でしょうね、おじいさん」
めでたしめでたし。
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