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私の名前は『日向 真桜(ひなた まお)』、大学の看護学科に通う4年生の女子大生だ。
私は静岡の高校を卒業して東京の大学に通うために、東京に上京して都内のアパートで1人暮らしをしている。
私は幼い頃から男子と接するのが苦手で、小学生中学生の頃の遊び相手は女子だけだった。
しかし高校生になると周りの女子の友達に彼氏ができたりして、私は少しずつ取り残されていくような寂しい思いをしていた記憶がある。
大学に入学すると新しい女子の友達もできたけれど男子の友達と接することはなく、友達が彼氏とデートするという話を聞くと私とは別の世界の出来事だと感じるようになっていた。
また合コンや男子と女子のグループで遊びに行くような場には、なかなか積極的に参加することができなくて、私は誘われても何かと理由をつけて参加することを避けていた。
大学4年生になった今は就職活動で忙しくなって、ますます女子の友達と遊ぶ時間が少なくなり、週末の休みの日は1人寂しく過ごすことが多くなっていた。
暑さも和らぎ過ごしやすい季節になった10月の土曜日、この日は大学の講義がなくて休みのため、私は少し朝寝坊して10時頃目を覚ました。
するとアパートの私の部屋に1人の女の子がソファーに座って、私に向かって微笑んでいた。
「あなたは誰?」
驚いた私が思わず女の子に声をかけると、
「私は『花蓮(かれん)』」
と教えてくれた。
私がまじまじとその女の子を見ると、どこか見覚えのある服装であることに気が付いた。
私が部屋を見回すと私が小学生の頃、父が私の誕生日に買ってくれた女の子の人形がないことに気が付いた。
その女の子の人形は少し茶色がかったロングストレートの髪形、グレーのニットに紺のジーンズのパンツ、靴は黒のハイヒール、肩に白のショルダーバックをかけている。
そして顔は色白で細面、クリっとしたまん丸い目がかわいらしい美人系の女の子だ。
私はその女の子の人形に『花蓮』という名前を付けて小学生の頃から大切にしていて、大学進学で東京に上京した時に一緒に持ってきたものだ。
ソファーに座っている女の子は、顔、髪形、服装が人形とそっくりだった。
私が女の子をじっと見つめて、
「花蓮は人形?」
と聞くと、その女の子は、
「私は真桜の大切なお友達だよ!」
と言葉を返してくれた。
私は少し頭の中が混乱したけれど、なぜか心がわくわくするような感覚を覚えた。
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