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来華と渡慶次は二年になってから同じクラスになった。クラス替えで渡慶次と同じクラスになったことを知ると、来華は心の中でガッツポーズをした。
渡慶次は背の高いハンサムだ。入学した当時から主に女子たちの噂話に度々のぼり、学年関係なく告白され、そして撃沈させていった。
部活はしておらず、一匹狼でいつも本を読んでいる。髪はボサッとしているように見えて絶妙に整っており、笑っているところを見た者はいない。成績は中の中で、常にやる気のなさそうな雰囲気を醸し出している。
しかし、チームでやる作業には積極的ではないもののちゃんと参加するし、そういった活動の中で見せる周囲への気配りにより、渡慶次の株は上昇の一途をたどっている。
来華はまず、渡慶次の顔が好きだ。それは他の多くの子たちも同じで、誰が見てもハンサムなあの顔を見ると、キュンとする。
見えないがいるかもしれない、偉大なる何かに愛された人間なのは間違いない。なにせあの整った造形だ。偉大なる何かが手心を加えたとしか思えない。
すらっと長い手足、腕の筋肉の筋、大きな手に長い指、うなじ、それらから放たれる色気。どこを取っても渡慶次は、来華の好みをどストライクで突いてくる。
あれで笑ったりなんかしたら、私、死ぬかも、なんて本気で思ってしまう来華である。
渡慶次が人と話しているところをあまり見かけることはないが、話しかけられると丁寧に受け応えしているし、告白して見事に散ったという子たちの話によると、とても紳士的に断ってきたので更に好きになってしまった、という罪な男なのだ。
私も好きだなぁ、渡慶次のこと。
同じクラスになってからは、チラチラと渡慶次のことをどうしても見てしまう。他の子も見ているので、同士は多い。席が近くならないのが残念なようでいて、近くなったら緊張してしまうのでは、という悩みもある。
現に来華の友人は渡慶次の前の席だが、渡慶次に後ろから見られて後ろ姿が変とか思われたらどうしよう、という謎の悩みを満更でもない様子で話していた。
羨ましい。でも、緊張は絶対するだろうと思うと、少し離れているくらいがちょうどいい気もする。
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