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翌日の放課後。
歩の台本のおかげで、生物部の話し合いは無事終わった。思ったよりも専門用語がでてきたので、台本をもらっていなかったら、きっとばれていただろう。
俺は言いつけ通り、台本をびりびりに破り、ゴミ箱に捨てながら、歩がしっかり朝田にやり返せたか考えていた。いい奴だから、直前で逃げ出すことも十分考えられる。
そんな不安を抱えながら、家に帰ると、歩は既に帰っていた。
「どうだった!?」
俺は歩を見た瞬間に口を動かしていた。
「うん、上手くいったよ!もうこれで朝田は俺をいじめないはずだよ。」
歩が嬉しそうに口を開く。
「そうか、よかった!ほんとによかった!で、どうやってそいつを懲らしめたんだ?」
「口もきけないようにぼこぼこにしてやっただけさ。やってみると、案外簡単だったよ、実行する勇気だけ足りなかったみたい。」
「そうだ、お前はいいやつな分、弱気なのが玉に瑕だ。もっと自信を持っていいんだ。」
「ほんと、そうみたいだね。今回のことでもっと自分に自信持たないとって思ったよ。気づかせてくれてありがとう。ほんと全部兄ちゃんのおかげだよ。」
そう言って、歩はワラった。
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