奪い奪われて

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結婚式当日まで後一週間前。 中止を打ち出して何か周囲が騒々しくなるかと思ったが、以外にも静かだった。 千鶴の両親が僕の親以上に憔悴していたことや、両親が弁護士。関係各所に出向いて謝罪行脚に回り、清廉なイメージ展開をしたことも起因してると思った。 僕はそんな事を横目でみながら、学校でちょっとした腫れ物扱いを受け流しながら。 成績をキープしつつ。 ──大体の準備を済ませていた。 まず、あの別荘の鍵は普通に玄関のキーボックスに埃を被っていてそれを複製済み。 別荘の場所も把握出来ているのなら不動産に資料を取り寄せたらいい。 資金面も僕のクローゼットに眠ってるブランド品のものをいくつかフリマサイトで売った。 足りない分は親から貰ったクレジットカードでブランド品を購入し、その足でリサイクルショップに売って事足りた。 あとは単純に、交通路、地図、情報を叩き込んだ。 そしてラッキーな事に別荘を見張る位置取りは周囲が貸しペンションを経営していたので、僕の家の別荘をバッチリ確認出来るペンションを予約した。 そこに既に当日必要なものは全て配送済みだった。 さらに。 結婚式当日の前日に別荘の玄関と家の中に仕掛ける盗聴カメラと盗聴器を仕掛ける準備も整えていた。 事前に自分の部屋で試したり映像や音声の具体を調べている。準備は上々。 そままスムーズに闇夜に紛れて──兄さんと鉢合わせしない限り設置してやろうと思っていた。 「せめて玄関のカメラだけは仕掛けたいよね。あとは別荘に乗り込んで来るときの車を特定させてGPSつけれたら最高かな」 ふむと、僕はベッドに寝転がって頭の中でシュミレーションする。 当日、二人に出会たとして僕が何が出来るか。 漫画みたいに兄さんのすきをついて、千鶴を奪還するのが一番手っ取り早いけれど。 「……そんなすきがあったら千鶴が勝手に逃げてるんじゃないかな……」 ──兄さんは出てこなくても、千鶴も出て来れない理由はきっと何か弱みを握られて、心理的にも物理的に拘束されて居るんじゃないかと思った。 あまりこのあたりの事は考えたくないが。 一先ずは千鶴は動けないと仮定して。 兄さんを足留めするプランは。 「難しいかな。力じゃ勝てる気がしない」 ゴロンと寝転がる。 何か罠でもと思うけれど。 「ホーム・アローンじゃないんだから……やっぱり時間稼ぎかな」 そう、僕が出来るのは二人を見つけて、足止めすること。 事前に警察や箇所に連絡をしてから二人に遭遇して、僕が二人の気を引けばいい。 そして、警察が来る前に逃げたとしても逃走は必ず車を使用すると思われた。 ならば車の車種、ナンバーを記憶したらいい。 何処の交通路を使用するかおおよその予測は建てられる。 大きな道路に出るなら監視カメラがリアルライブで配信されている。 それをチェックしたらいい。 更にGPSを取り付けに成功していたら容易に居場所を把握出来る。 「逃げたらカラーボール投げてやるつもりだし」 それに。 僕だと一発でわかる姿でホイホイと別荘乗り込むつもりはない。 変装の準備だってしている。 結婚式まで後一週間。 僕ははやる気持ちをひたすら落ち着けて、幾度となく当日のシュミレーションを頭の中で繰り返した。
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