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「お誕生日、おめでとう」  彼女は僕に朝一でそう言った。 「ありがとう」と僕は返した。返してからカレンダーを見て、そういえば僕の誕生日は今日だったっけと思い出した。 「お休み取ったから。今日は水曜日だから、お仕事休みでしょ?」  彼女は僕のコンビニバイトのことを「仕事」と言う。気を遣ってくれているのかもしれない。 「うん休み」 「どっか、行きたいとこある?」  彼女はしっかりメイクをした顔で、ばっちり決まったファッションでそう言った。 「ああ、ええっと」  僕は考えて答えを出した。 「特にない」  彼女は深く溜息を吐き、「本当にもう」と言った。 「そう言うと思って、プランは勝手に考えた。とりあえず支度して」  僕は言われるがままに顔を洗って寝癖を直して歯を磨いて、服を着替えた。支度が出来ると彼女は僕を助手席に乗せ、車を運転してどこかへ向かった。僕は窓の外に流れていく景色をじっと見た。
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