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 十二時を過ぎた。彼女は相変わらず帰ってこない。僕は諦めて風呂を沸かして入った。湯気の立った頭にバスタオルを被って風呂から出てきたところで玄関ががちゃり、と音を鳴らした。  扉を開いたのは彼女。僕は「あ、おかえり」と声をかけた。 「パンツぐらいはいてよ」  彼女はため息交じりにそう言ったので、僕は「ああ、うん」と返事をして寝室に行き、ベッドの上に畳まれていたパンツを履いて鼠色のスウェットを着た。  リビングに戻ると彼女がソファーにだらしなく寝そべっていて「疲れた」と絞り出すように言った。僕は「晩御飯、食べる?」と尋ねた。 「ああ、ごめん。食べてきちゃった」  彼女はのっそりと体を起こし「疲れたから寝るね」と言ってシャワーも浴びずに寝室に向かった。僕は明太クリームパスタを一人分だけ温め、ゲームをしながら食べた。
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