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そのままリビングで寝てしまった僕を、彼女は朝早く起こした。
「昨日、ごめんね。記念日だったの、忘れちゃってた。忙しくて。今、大事な時期だから、本当ごめん」
彼女はその後、冷蔵庫の方に顔を向け、「ケーキは今日帰ってから一緒に食べる。本当ごめん。じゃあ、行ってくるね」と言った。
僕は「うん。頑張ってね」と言った。
彼女は今、夢だった自分の会社を興し、美容サロンを経営しはじめたばかりだ。僕は頑張る彼女をずっと横で見てきたから、彼女の成功を一緒に願っている。
バタバタと出て行く彼女はきちんと社会人で、髪もスーツもびしっと決まっていた。その背中を見送りながら、ぼさぼさの髪に手をやり、欠伸をし、時計を見た。バイトまではまだかなりある。
明太クリームパスタを朝から食べた。少し胃もたれして、朝から食べるのはやめようと思った。
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