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どっちがベスト?
「ね、ユウト。どっちが似合うかな?」
「知らん」
「真面目に見てよ。清楚な白もいいけど、オトナな黒も捨てがたくって」
「白服は、食事に気を遣うんじゃないの?」
お前、食べるの下手じゃん。
「でも肌が明るく見えるし、デザインも可愛いし」
「じゃ白にすれば?」
大体、迷う必要あんの?
デートってわけでもないのに。
「けど、白だと目立ちそう。黒のほうが、周りに紛れるって言うか……」
「見つけて欲しいんだろ?」
「そんな! 恥ずかしいよ!! 見られたりしたら、私死んじゃう」
「おま……何しに行く気?」
見られたくないなら、なんで服選び迷ってんのさ。
学食の券売機に並んだ時、好みのイケメンが前に居たんだそうな。
行列待つ間、眺めれてシアワセだったらしい。
以来、昼食時に食堂でその彼を探すのが、妹の日課。
明日はカジュアルデー。私服で登校出来る日だから、こいつは着てく服にずっと迷っている。
走り出した彼女の恋心は誰にも止められない。
止める気もない。
だが「明日は奮発してカツカレーにしよー」とかウキウキと言ってるから、イケメンの件はきっとオマケだ。もし遭えなくても、おそらくノーダメージ。
本命はカレーの方か。
(騒ぎたいお年頃ってやつだな)
どうでもいいけど、呼び捨てせずに、お兄ちゃんって呼べよ。
そしてカレーに白服は天敵だぞ。
― おわり ―
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