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自分の棒さばきがモンスターたちに通用することが分かったキールは興奮していた。このまま修行を続けていけば、きっともっと強くなれる。そうして強くなって、いつかは終末の騎士団のようにドラゴンだって倒せるようになる。
キールはそう信じて疑わなかった。
そうして、村の再建を尻目にキールは何かに取り憑かれたかのように村の外で小型のモンスターを倒していく。その腕は確かに上がっており、取り逃がすことも少なくなってはいた。
しかし、そんなキールの様子を幼いマルクは見ていた。
兄が行っていることを見て、マルクは純粋な疑問を口にする。
「ねぇ、お兄ちゃん。どうしてお兄ちゃんは、弱い物いじめばかりしているの?」
「え?」
その言葉はキールにとっては意外だった。
(弱い物、いじめ……?)
マルクの純粋な質問にキールは咄嗟に答えられない。キールが押し黙っていると、
「マルクちゃん、ちょっと手伝ってくれるかい?」
「はーい!」
マルクは村人に呼ばれて行ってしまった。
キールの胸には、マルクの純粋な瞳と『弱い物いじめ』と言う言葉が突き刺さり、そしてズキズキと胸を痛ませるのだった。
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