第一章:薬剤師ダミ子の日常

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永眠病(スリーピング・ホリック)。 半年前から流行り出した謎の奇病。 病にかかってしまった者は眠りにつき、どんな手段で起こそうとしても目を覚まさない。 患者が死亡するという例は今のところないが、治療薬が存在しないため、一度でも永眠病(スリーピング・ホリック)にかかり眠ってしまったら最後と未知の病として恐れられている。 「王様は『我が国民はまだ一人もかかってない』って余裕ぶっこいてるけど、国民が永眠病(スリーピング・ホリック)にかかるのも時間の問題」 「……」 「この病気を治す薬こそ、今研究するべきことなのよ!」 カモミールは叫ぶ。 世間を脅かす奇病に対抗する治療薬の開発。それがやるべきことだと彼女は言っているのだ。 彼女の熱意と真逆にダミ子は冷めた口調で言う。 「でも他の国はとっくに研究してるわけでしょ。それなのに治療薬は完成してない。それを今からうちが頑張ったところで治療薬ができる根拠なんてあるの?」 「それをどうにかするのが王室薬剤研究所の私たち薬剤師でしょう!」 鎮火失敗。 カモミールは拳を握り締め熱く語る。 つり上がった目から使命という名の炎がメラメラと燃えていた。 しかし、ダミ子はカモミールの言葉に感銘を受けることはない。 ただ冷めた瞳で燃え上がる同僚を見つめ退屈そうに欠伸をかます。
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