第八章:スカピー火山と菓子降る友情

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「怒りを私すっごい怒ったとき不意にくるプレゼントとか貰えると許せちゃうのよね。くっそ気分悪いときに予期してない喜びが起きるとそっちに気が向き怒りが引っ込む場合があるの」 『???』 突然のちぐはぐな内容にその場にいる全員が首を傾げる。 「何を言ってるんだオレガノ?」 兄のタイムでも趣旨がわからなかったらしい。 「だーかーら、怒りを沈めるには喜ぶことが一番って話。村の人もお婆ちゃんも大切なもの奪われて怒ってる。でも返すことは不可能。ならもう怒りを上回る喜びでカバーするしかないっしょ。もう許してもいいや! ってくらい嬉しみ溢れるものをプレゼントするの!」 「なるほど! 盗んだものを返すだけが謝罪だけではないということか」 これは盲点だった。 自分だったら絶対思いつかない方法だった。 正反対の気質のオレガノがいてくれて助かった。 「しかし喜ぶものか……やはり高価なもの、宝石とか?」 「金貨や質の高い武具もいいですね」 「それコイツが盗んだやつじゃないか!」 「てへ」 「甘いわね。プレゼントは内容がすべてじゃないのよ」 オレガノは不敵に笑う。 「大事なのはシチュエーション。どうやって渡すか、よ。つまり、インパクト!」 『インパクト?』 「つまりサプライズ! あっと驚くような演出で心踊るプレゼントを村の人たちに配るのよ!」 だからね~…… ここからはオレガノの独壇場だった。 彼女のアイデアを主軸に一同はサプライズ作戦について数時間話し合い、 「これでいくか」 作戦が決まった。
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