12月8日、放課後

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12月8日、放課後

6限の現代文が終わり、帰りのホームルームとなった。時刻は3時45分を指していた。 「じゃあ、明日の授業変更とかについては特にいう事ないな。えーと、今日の掃除は、教室が遠藤と徳田で、トイレが男子、前田と、えーとそうか原、だな。女子は、佐藤と太田な。ゴミも出しといてな。」 担任の加藤はペラペラと言った。 「はい、じゃあ挨拶ー」 号令係の挨拶で教室はすぐに喧噪を戻した。 僕はいつもは、この喧噪から逃げるように帰っているのだが、今日は逃げるようにトイレに向かった。 トイレ横のトイレ用具入れを開けて、ゴム手袋をつける。横のパンパンに溜まったゴミ箱が、今日ゴミ出しの日であるという事をまじまじと主張してくる。普段は、トイレ掃除なんて、一緒に登板になったクラスメイトと一切話さずとも、適当に終わらせて帰っているが、今日は原と登板なのでそうもいかないかもしれないと思った。 というのも、原は重めの喘息持ちらしいから、ハウスダストか何かの影響で、教室で掃除はできないらしい。だから掃除登板が原に周ると、原はいつもトイレ掃除の登板となっていた。 S字フックに掛かるトイレブラシを取り出し、トイレに入り、一番左の便器からトイレブラシを適当に擦り始めた。 ホームルーム終わり10分間ぐらいのトイレには、多くの男子が出入れする。だから相変わらず、手洗い場で騒いでる奴らの声などで、トイレ内は適度にうるさかった。 「祐介〜」 体勢を起こして横をみると、原がゴム手袋をし、モップをもっていた。 「今日の授業もだるかったなあ」 原はそう言いながら、隣便器の周りをモップで拭き始めた。 「てか、祐介w、丸本に注意されてやんのw」 原はモップをかけ、笑いながら、こっちをチラチラと見て言った。 「でもその後の輝樹おもしろかったよなあw思わず僕も笑っちまったよw」 原はケラケラ笑ながら、2個目の便器回りのモップをかけていた。 僕の横の便器に男子が用を足しにきた。また、ここでタムロし、スマホをいじって話す奴らなどが現れ、トイレ内は一層うるさくなる。 僕はこの後、隣の奴が用を足した便器を掃除をすることになるのかと一瞬思ってしまった。この瞬間から、もうめんどうだ、という気持ちに重なるように嫌という気持ちが出てきて、ごまかしてもう帰ろうと思った。 横目に原を見ると、せっせと3個目の便器周りにモップをかけていた。 僕は雑音と人出に混ざるように、この場を抜けて、掃除用具入れに行く。トイレブラシを放り込み、ゴム手袋を掃除用具横のゴミ箱に入れ、手を洗うために手洗い場に行った。 横の洗面器前で、タムロしてる奴らを隣で気にしながら、水だけで手を洗い、戻り際にちらっと今抜けてきた場所を見た。 原は何事もないように、左から2個目の便器回りをモップで拭いていた。 僕は教室に戻り、自席に行きバッグをとる。 教室はまだうるさい中で、僕は逃げるように教室を出た。
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