アクシデント

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週明け、月曜日。 「おはよう心優ちゃん。大丈夫だった?もう平気なの…?」 定期バスでわたしの隣に座るなり、珍しく早口な大澤さん。 『おはようこざいます。すみません、ご心配おかけして…。』 「そんな全然…。インフルエンザだったんでしょ?大変だったわね。」 『電車の遅延のあった日に発熱しちゃったので、その日はキツかったですけど。直ぐに熱も下がりましたし…。』 「そう…?でも今日は、定時で上がりなさいね。遅れを取り戻そう!…とか考えないで。心優ちゃん頑張り屋さんだから、おばさん心配。」 『ハハハハ…分かりました。今日は早めに上がります。』 「よろしい。」 大澤さんに笑顔で肩を叩かれ、日常を実感する。 ただ、親切なあの人は、今朝はバスには乗っていなかった。
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