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1月。
[聞いて聞いて!今日もね、あの人と同じ車輌に乗れたんだ〜。もうさ、それだけで仕事の疲れが吹っ飛んだからね…わたし。]
[心優(みゆ)、またあの人の話し??毎回毎回、よくネタが尽きないね…。]
[何だろ…佇まい?居ずまい…?そんな言葉無いか…。(笑)電車待ってる雰囲気がね、それだけで素敵なんだよー。璃央(りお)には分かんないだろうけど…。]
[いや、わたしも素敵な大人の女性くらい分かるけどさ…。それを毎回、その熱量で話されてもね。まぁ、聞くけれども…。(汗)]
わたしの名前は立花心優、22歳。
現在、派遣社員2年目。
某家電メーカーの子会社で、資材部に所属。
マイカーと電車、定期バスで通勤する毎日だ。
[あっ!明日も早いからそろそろ寝なきゃ。璃央、今日もありがとう。おやすみ★]
[えっ、もうそんな時間?じゃあ、またね。おやすみ、心優★]
私の一方的なメッセージを、いつも菩薩のような寛大さで受け止めてくれるのが、高校時代からの親友、内山璃央。
ブツブツ言いながらも、わたしの気持ちに寄り添い、きちんと受け応えをしてくれる璃央には、いつも救われている。
『歯みがきしようっと♫』
わたしは、立ち上がりスマホを充電コードに刺すと、1階の洗面所に向かった。
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