気になるあの人

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わたしがはじめて、あの人の存在に気付いたのは、まだ春先の、電車の中だった。 4月、朝7時過ぎ。 いつものように、慌てて電車に乗り込むと、目線の先に、はじめて見る女性が座っていた。 膝丈のシンプルなスカートに、スプリングコート。 座っていても、脚の長さと綺麗さは一目瞭然。 ナチュラルメイクに、髪はツヤのある黒髪ストレートで、片方を耳に掛けていた。 文庫本を広げ、熱心に読み耽っているようだ。 “な、何…この感じ⁉ 心臓が、やけにうるさいんだけど…。 どうした、わたし? 何が起きた??” 手すりに掴まりながら、チラチラとあの人の様子を伺ってしまう自分。 これが、わたしとあの人との出会い。 今思えば、わたしがはじめて一目惚れした瞬間だった。
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