記念番外編「"ハッピーラッキーボーナスポイント"」

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 それどころか彼が来店すると、彼とよく一緒に来るやたらと顔の整った大人びた青年とセットで観察することが日課になってしまった。  二人とも野球部らしく、部活後の夕方の時間にもたまに見かける。 『さあ、臨ちゃん! 好きなお菓子を選びなさいよ!』 『……なんで』 『今日、お前ちょっと体調悪かったろ? 節君には分かっちゃうんですねえ、何故なら俺達は黄金バッテリーだからな。ピッチングからもお見通しよ。いつも一人で頑張っちゃう臨に、ハッピーラッキーボーナスポイント差し上げまぁす』 『なんだそれ』 『あ、お菓子は二百円までのものにしてね』 『……じゃあ、このハイカカオチョコのアソートパックにする』 『え? キミってば、お話聞いてた? 一袋で五百円くらいするのだが』  全くタイプの違う二人に見えるのに、彼等はまるでそうなることは必然だったように一緒に居る。  分かりづらく“臨君”が口角を上げると“節君”は、もっと嬉しそうに笑う。その一部始終の尊さを店長に伝えたら「いや、誰が観察日記付けろって言ったの」と眉を下げながらも、楽しそうに表情を緩めた。
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