放蕩息子の復活

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 私は、男の帰りを門の前で待った。男はタクシーを降りて、ブリティッシュグリーンの塗装がついた門柱の傷を見ると、チッと舌を鳴らした。  私は彼の態度に少し戸惑いながら言った。 「息子さんは、いかがでした?」 男は言った。 「ああ、意識は戻った」 「それはよかったですね」 男は、顔を真っ赤にして言った。 「君はいったい何を勘違いしているのだ?」 「勘違い?」 「誰があんな馬鹿息子を(よみがえ)らせてくれと頼んだ?」 「あなたが・・・もう一度あいつが走る姿を見たいと・・・」 「私が願ったのは、ジャガーの方だ!」 〜終わり〜
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