放蕩息子の復活

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 これからお話しするのは、よくある話(the same old story)だということをご承知いただきたい。  50代くらいの男がひとり、まるで人生がおしまいになってしまったかのように、頭を抱えてベッドに座っている。ここはその男の寝室であり、寝室に飾られた写真はその人の人生を物語る。  壁にはオープンカーの傍に、サングラスをかけて気取って立っている男の写真がある。その隣には若い男の写真。青年は陸上競技のユニフォームを着て、誇らしげに胸にメダルを下げている。青年の隣には、満面に笑みを浮かべた男が肩を組んで立っている。そして、サイドテーブルには美しい女性の写真。まだ髪の毛もふさふさしていた頃の男が寄り添っている。
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