爽やかに舞う風に乗せて

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「佐久来君、練習怠っていた? それに、目の下のクマがすごい。どれもこれも僕のせい·····?」 「違うっ··········どれもこれも僕のせいだ··········ごめんね、風舞君。あんなこと、言っちゃって」 しゅんと、自然と頭が下がっていた。その気の緩みからか、風舞の真っ白い革靴を踏んでしまった。 「あっ! ごめんっ」 「気にしないで。·····僕の方こそ、佐久来君の気持ちを知らないで、僕のワガママに付き合わせちゃったね。ごめん──あ、ここでターン」 腰の手が離れ、片手を高く上げられるも、それを軸にその場で一回転する。 「それこそ違う。僕は本当に風舞君と一緒に踊れて、とても楽しかったんだ。毎日の放課後が楽しみで仕方なかったんだ」 ぎゅっと繋ぐ手を握る。 少し目を見開いていた風舞が、ふと穏やかな笑みで見つめてきた。
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