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ひっくり返ったちゃぶ台、倒れたクリスマスツリーに、散乱する飾り物。
頭をかき、唖然としたまま、養父がつぶやく。
「なんか、嵐のような女だったな……」
「ふふ」
ジュリアーノは、少し頬を染めて、恥ずかしそうに笑った。
「レオナルド……。私は幸せなんです……」
「なんだ? 急に。どうしたんだ、ジュリアーノ」
「幸せ、そう、多分幸せなんです……今まで実感が薄かっただけで……本当は、ずっと幸せだったんです。それが今日わかりました」
そう言うジュリアーノは、ふんわりと笑顔を見せて微笑んだ。
綺麗な花が咲いたような笑顔だ。
「そうか、それは良かったな。それでこそ、クリスマスだものな! はっはっは! じゃあ、パーティをやり直そうか」
息子の笑顔を見て、養父は嬉しそうに笑った。
さっきまでの惨状はケロリと忘れている。
彼とってジュリアーノが笑顔なら、世界はそれでいいのだ。
何があろうと、全て無問題だった。
ジュリアーノはちゃぶ台を戻し、ツリーを立て直した。
散乱したプレゼントを拾い集める。
「今日は素敵なクリスマスでしたね、レオナルド」
「最高だな!……えらくボコられたけど……」
ふとジュリアーノは、窓の外の夜空を眺めた。
透き通るような夜の空に、キラキラと星が輝いている。
心の中で、つぶやく。
ジョルジャ母さん……。
私たちは幸福です。だから安心してください。
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