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息子はしばらく考えていた。
目を閉じ、両の手の平を合わせ、ゆっくり左右に身体を揺らしながら歌い出す。
「♪きーよーし こーのーよーるー♪ なーみーだー キーラーリー♪」
「微妙に違うな……」
ツッコミを入れられたジュリアーノは、「せっかく歌ったのに……」と少し赤面してふて腐れて、話題を変えた。
「今日はサンタさんからプレゼントが届く日でしたね。レオナルド、あなたの願い事は何ですか?」
「家内安全。お前はどうだ?」
「私の願いごとは……一目でいいから、亡くなった母さんに会うことです…」
白い神父服のジュリアーノは、ちょっと淋しげに笑う。
憂い顔も美形だと似合うんだな、とレオナルドは思った。
そのときだった。
ドンドン! ダンダン!
屋敷の外から、玄関の扉を叩く音が響いた。
誰かが足で扉を激しく蹴り上げている。
その音は荒々しく、まるで借金取りのようだ。
続いて、女性の声が聞こえた。
「ちょっとーーーー! レオナルド、私よ。この扉を開けてちょうだい!」
「こんな時間に一体誰でしょう……。レオナルドの奥さんじゃないですし……? 家政婦のシモーナでもないですし。でもこの声は、まさか……」
声の主が分からないジュリアーノは、小首をかしげながら、玄関の扉を開いた。
扉を開けた向こうには、サンタ風の赤いドレスを着た美女が立っていた。
「あらぁ! ジュリアーノじゃないの! メリークリスマスゥーー!!」
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