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復活祭に念う
春が近づき、おれが暮らしている修道院でまた今年も復活祭の準備が始まった。
歌手として生活していた頃はあまり意識していなかったけれども、修道院での生活が長くなるにつれて。主の復活を祝う復活祭は喜ばしいものだと思うようになってきた。
けれども、その喜ばしい気持ちと同時に、こんなことを考えてしまう。どこかの街で疫病に飲まれて死んでしまった友人が生き返ることはできないのかと。
友人は神の子ではないから無理な話だというのはわかっている。それに、友人はオペラ歌手という神様から遠いところにいる存在だった。なおのこと無理だろう。
それでも奇跡を願いたい。
おれの側にいて欲しいと願うのは、神様ではなく友人だったのだから。
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