生首の話

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生首の話

 筆者の父が友人のCさんから聞いた話。  Cさんは某県の消防本部ビルの近くに住んでいた。  ある夜、二階で眠っていたCさんはトイレに行きたくなって目を覚ました。  トイレは一階にしか無いので、階段を降りて向かっていた。  階段の途中に付いている小窓から、ふと外を見た時、消防本部の上空におかしなものが見えた。  消防本部の屋上に立つアンテナ、その周りを延々と飛び回る、男の生首があった。  Cさんはトイレに行くのも忘れて、二階へ引き返して布団にくるまりながら夜明けを待った。  朝になると生首はいなくなっていたが、そこそこ多くの目撃者が居たらしく、近所では騒ぎになっていた。  その消防本部は、この話を更新した今も同じ姿で存在している。    地味に恐ろしい余談。  筆者はこの話を初めて聞いた幼稚園の時、生首というのを「首から上全部」ではなく「首から顎の下まで」と勘違いしていた。  そのため、アンテナの周りを飛び回るサラミのような物体を想像しながら「なんでそれが男って分かったんだろう」と不思議だった覚えがある。
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