田舎道の話

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田舎道の話

 Aさんのお母さんには、霊感がある。  そんなお母さんのお話。  ある時、田舎道を車で走っていた。  辺りは畑や背の低い家屋があるばかりで、見通しが良い。  信号も少なく、快走していた。  十字路に差し掛かろうかという時、お母さんが進む道と交差している脇道に、二つの人影を見た。  一人は自転車に乗った女性。  その陰に立っているもう一人の人物は、角度のせいでよく見えないが、手前の女性の後ろを進んでいた。  お母さんは正面に向き直り、二人が交差点を通り過ぎて行くのを待った。  自転車の女性が視界を横切って行く。  しかし、すぐ後に続くかと思われたもう一人が現れない。  脇道をもう一度見ると、数秒前には二人が立っていたはずの場所には、ぽつんと花が供えてあった。
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