「家の記憶」の話

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「家の記憶」の話

 Bさんから聞いた、家にまつわる怖い話。  ある時、Bさんは住人が一時不在となった旦那さんの実家へ赴き、留守をしているペットのダックスフントに餌をあげていたという。  Bさんは怖がりなので、自分と犬しか居ない家に怯えつつもお世話をしていた。  突如、二階に上がっていく足音がしたため、Bさんは慌てて用事を済ませて帰った。  旦那さんに足音のことを話すと、おじいちゃんが居たのかも、と旦那さんは故人の名を挙げた。      家に残っているのは、良い思い出ばかりではない。      Bさんがかつて住んでいた日本のマンションは、何棟か同じ造りのものが並んでいるタイプだった。  内見のとき、ある棟だけが異様に暗いと感じた。Bさんはそこを避けて別の棟に住み始めた。    後に、暗かった棟の過去を知った。  そこだけは沼を埋め立てて出来た土地で、沼の跡が建物の一部と重なっていたのだ。  Bさんの友達も内見で複数の棟を見て回ったが、同じことを感じたようでBさんと同じく沼と重なる棟を避けていた。  Bさんに負けず劣らず勘の鋭い友達は「沼地を埋め立てる時に、生き物を取り出さなかったせいで暗いんだよ……」と言っていた。    ちなみに沼の跡に建っている家屋は、件のマンションだけではない。  周囲の一戸建ていくつかが該当しているようだ。  その一戸建ての一つは火災により、事故物件を検索出来るサイトに紹介されている。  知らず知らずのうちに住んでいる人も多いのだろう。
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