のんびり実話怪談

仕事場の話

　仕事場にまつわる怪談を二つ。

　まずはBさんの話。
　かつて働いていた職場の同僚は、霊が見える人だったそうだ。
　同僚が急に、何もない空間を睨んで「向こう行って」と言い放つこともあった。

　それだけならば、演技じゃないのか、と思うのも無理はない。
　しかしBさんは同僚のことを「いかにも霊が見える人の目をしてた」と振り返った。

　目を見ただけで分かるBさんも、なかなかに凄いんじゃないか？　と、色んな怪談を聴かせてもらいながら思っていた。

　もう一つは、筆者の母の話。
　母は霊感は無いが、やたらと運が良い人だ。
　そんな母でも、霊の気配を感じたことがある。

　母が勤める仕事先の三階は、従業員の部屋として使われている。
　その部屋に人の気配を感じつつ扉を開くと、中には誰も居ない。

　これが気のせいでは済まないのではないか、という証言が上がっている。
　その商店街では、他の店でも霊が目撃されており噂になっている。
　いずれも一階などではなく、上の方の階だ。

　さらに同じ商店街には、地元では有名な心霊スポットとして知られている三階建てのカラオケ店もある。
　霊道が地上数メートルの所を通っているなら、全ての辻褄が合うのだ。