0人が本棚に入れています
本棚に追加
とある駅にてーーーーーーーー
私は人混みの中、列車を待っていた。
ホームは人が流水のように流れては、止まりを繰り返している。お互いに自分の陣地を守り合うかのように、体と体がぶつかり、両者とも譲らない。これは武士道の名残か。
向こうの方に列車が到着するか、と思った刹那、反対側のホームから悲鳴が上がった。「なんだなんだ。」とこちら側の人々は押し合い引き合いして悲鳴の原因を探す。なんとか落ち着き、他人の話に耳を傾けていると、反対側のホームから人が落ちたというものだった。「日常茶飯事だ。目の当たりにした者は可哀想だ。」と哀れみと悼みをこめて冥福を祈った。こちらの人々をそう思うのだろうと、推測したが、私の予感は外れた。正反対であったからだ。こちら側の人々は
「その女やら男やらが押したに違いない!きっとそいつが日頃の恨みをこめて、殺したのだ!」
声を大きくあげて主張したのだ。
反対側の人々も黙ってはいない。
「私達は何もしていない!ただの自殺だ!」
と反論する。
私の最期に耳にする言葉はこれほどにつまらないものなのだろうか、
私は自分の未来を嘆いた。
最初のコメントを投稿しよう!