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誕生日の次の日に、美桜は体調を崩して病院に運ばれた。病院に着いた時には、美桜はICUに入っていた。父には、何か方法はないのかと縋りついたが、静かに横に首を振られた。もう手の施しようがない、峠だろう、と言われた。美桜の家族と私は美桜のそばで目を覚ますのを待った。運ばれてから一時間後だった。握っていた手がピクッと動き、咄嗟に声をかける。
「美桜ちゃん!?美桜ちゃん…っ!」
「あき…ちゃ…」
美桜をゆっくりと目を開けて、か細い声で私を呼んだ。自分の家族の存在にも気づくと、お母さんお父さんと目を配った。
「みおちゃん、やだ、死んじゃだめ」
「あきちゃん、泣かないで。わらって」
美桜はそう言って笑って見せた。今にも消えてしまいそうなくらい弱くて、それが怖くて握っていた手を頬にすり寄せた。
「おかあさん、おとうさん。ちゃんと、元気でね。だいすき」
美桜は両親にも笑顔を見せた。美桜の母は涙を拭って同じように笑った。
「美桜、お母さんも、大好きよ。お母さんの子に生まれてきてくれてありがとう」
やっぱり似てるな。美桜も、美桜の母親も。強くて逞しい。それがこんなに美しく見える。
「あきちゃん」
「ん、なあに」
「だいすきだよ。ずっと、ずっと一緒にいるから」
「ん、あきも。すき。みおちゃんのこと、世界でいっちばん、だーいすき。どこにいても、離れないよ」
ベッドに寝ている美桜を強く抱きしめる。精一杯の笑顔を作ると、美桜も笑った。
「ありがとう」
美桜はその言葉を最後に、二度と目を覚ますことはなかった。
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