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「本当にもう少しだけだから!」許してほしいのだが、ここで「思うに」のわたし流解釈に立ち戻ろうと思う。もう一度考えてほしい。 「わたしの中にある無数の情報をわたしなりにこねくり回し、この世界にふたつとないわたしの意見として言語化したものの、それが本心であるとは限らないし、自分でも真の意味でそう思ったのかは定かではない」  わたしが身の回りの情報を吸収して、わたし自身がそれらを自己形成の材料とする。しかしそれらが真にわたしであることはわたし自身にも定かではない……  わたしは、地球と酷似していないか。  はるか昔、地球は銀河の星々の気まぐれで形成され、現在までつづく基盤となる形を手に入れた。しかし地球に生まれた人間や文化が発展してしまったせいで、地球の表面にはさまざまな物が誕生した。  はたして、大地から形成されたわけでもない我々が作った建造物や移動手段は、地球の一部といえるのだろうか。どこからが地球なのだ。おそらく、地球自身もよくわかっていないはずだ。  そう、われわれの存在は地球と同じであり、「思う」とは銀河の気まぐれと同じように秩序的な行為なのである。  *** 「母さん決めました。もうタカシにご飯は作ってあげません!」
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