うっかりサンタと泥棒ジェイク

1/12
前へ
/12ページ
次へ
 しんしんと()り続いたやわらかな雪がやみ、夜空には黄色い三日月とキラキラお星さま。  耳をすませばどこからかシャンシャンという鈴の()がきこえてきました。  そう、今夜はクリスマス。サンタクロースが1年で1番忙しい日です。  町の人々が寝しずまったのを待ち、動いているのは、サンタさんだけ。  あれれ?  どうやら、今夜はちがうようです。  もう一人、息をひそめるようにして動いている人がいます。  それは、サンタクロースにそっくりの赤い服をきた大泥棒(おおどろぼう)のジェイクでした。  ジェイクは今夜、サンタさんが子供たちに届けるプレゼントをねらっているようです。  ぬすんだプレゼントを売りお金に()えてやろうとたくらんでいたのでした。  運のわるいことに、この町にきたサンタさんは、新人のサンタクロースでした。  不慣(ふな)れで不器用(ぶきよう)な若いサンタさんは、地図を何度も確認(かくにん)してはあっちへシャンシャン、こっちへシャンシャン。  ジェイクが近くで自分を見ていることに、全く気づいてはいません。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加